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家庭内の思わぬケガや事故を防ぐために出来ることとは

住まいと暮らし
2023.11.14

自ら考え、進んでできる家庭内の安全・安心対策

家に帰ると誰しもホッとするのは、戸建てでも集合住宅でも、家庭が壁に囲まれ自身の安全が保たれる場所というイメージがあるからに他なりません。確かにそういう一面もありますが、実際は家庭内でも事故やケガをする事例もちらほら。今回は、家庭内で起こりうるリスクとその対策について考えてみましょう。

家庭内にも思いもよらないリスクがある

家庭内にも思いもよらないリスクがある

日常の危険要素というと、交通事故や災害、さまざまな事件に巻き込まれるなどの要因は、家庭の外に多く見られます。屋外に比べて家庭内は危険がないように思えますが、まったくないわけではありません。

厚生労働省が発表した「令和3 年(2021) 人口動態統計月報年計」では、2021年に家庭における不慮の事故で亡くなった人は13,352人に上り、交通事故で亡くなった3,536人の約3.78倍の人が家庭内の事故で亡くなっています。家庭内は安全・安心であるべきですが、危険は思いもよらないところに潜んでいるということでしょうか。

また家庭内が安全・安心という認識は家族構成によっても違います。大人にとっては普通のことでも、お子さんや高齢者、要介護者、ペットにとってはリスクとなる要因がじつはたくさんあります。どのような家族構成で、どのような人が家庭にいるか、一人一人にとっての目線で考える必要があります。

最も多い入浴時のリスク

最も多い入浴時のリスク

前述の「令和3 年(2021) 人口動態統計月報年計」によると、家庭内で起きる事故は65~79歳が31.1%、80歳以上が56.7%と、じつは高齢者が9割近くを占めています。原因としては「不慮の溺死及び溺水」が最も多く、家庭内事故の40.4%を占めます。この中には高齢者によく見られる、浴室内外の寒暖差が引き起こす「ヒートショック」も含まれ、心筋梗塞や脳卒中等を発症するケースも見られます。

高齢者のいるご家庭のヒートショック対策として、脱衣所にヒーターを完備したり、入浴時の寒暖差が出ないように気を付けないといけません。また何かあったときの「呼び出しブザー」といった設備の導入も検討ください。浴室での侵入経路として考えられる窓には、施錠した際でも換気もできる窓用の補助錠の設置なども、浴室の位置や階数など場合によって必要かもしれません。

さらに入浴時の事故のリスク対象は、高齢者ばかりではありません。お子さんがいる場合、溺れる事故例も少なくありません。小さな子どもは、10cmほどの深さでも溺れてしまうことがあり、入浴の際には目を離さないことが大切です。

転倒・転落・墜落のリスクと対策

転倒・転落・墜落のリスクと対策

また不慮の事故で多いのが、転倒・転落・墜落です。こちらも18.6%とかなり高い割合です。階段だけでなく、浴室やトイレなどでも起こりえます。高齢者がいれば手すりを設置したり、また階段や転落の危険がある場所、段差が見えにくい場所では転倒防止用のすべり止めなどを設置するとよいでしょう。さらに照明を明るくしたり、足元灯を付けたりすることも危険を察知しやすくするために必要な対策です。

室内は整理整頓し、床につまずきそうな物を置かないようにしましょう。段差はつまずきの原因にもなりますし、万が一転んだ時にケガする凶器にもなります。バリアフリーにするアイテムも販売されているので、それらを利用するのもよいでしょう。他に、テレビや家電のコードが原因で転倒することもあり、これらをまとめるグッズも有効です。

窓のそばに大きなものや家具が置いてあると、お子さんがそれによじ登って窓から墜落する事故などもあります。この事故はベランダでもよく起こるケースで、家具やものを置いておく場合は登れないようにする対策が必要ですし、窓のそばに常設物がない場合でも自分で窓のそばに運んでしまわないよう、危険が想定される物はその場に固定したり、キャスターにロックをかけたりといった日頃の対応を心がけたいものです。また大きな家具は地震などの際、落下や押しつぶされといった事故の原因にもなるので、固定するアイテムなどを利用しましょう。

一方で、窓やベランダからの転落・墜落対策には、通常のクレセント錠に加えて、お子さんの手の届かない場所などに補助錠を付けたり、窓が全開せず、体が窓の外に出ないようにする安全グッズなども有効です。子供や高齢者には解錠がむずかしいカギや、窓に触れたら音が鳴る防犯ブザー等も有用ですし、お子さんが開けられない錠前は徘徊のリスクのある高齢者用にも転用が可能です。これらはカギの専門店に取り揃えられているので、ぜひご相談ください。

夏場だけじゃない、冬場でも起こる熱中症の対策は?

近年、家庭内のリスクとして話題に上るのが熱中症対策です。熱中症というと真夏の炎天下の屋外と思われやすいですが、約4割が屋内で発生しているといわれ油断はできません。

厚生労働省の人口動態統計では、熱中症は「熱および高温物質への接触」というカテゴリに含まれ、2021年では0.3%が対象となっています。冷房を付けようとして誤って暖房をつけてしまったケースや、入浴後に脱水状態に陥り熱中症の症状が出たケース、睡眠中の寝汗で脱水症状になったケースなどもあります。高齢者は外気温に関しての感覚が鈍くなる傾向があり、危険な状態であることに気付くのが遅れます。そのため、室内でも熱中症になりやすくなっています。

また気を付けたいのは熱中症が冬場でも起こること。室内の温度は年中一定に保たれる場合が多く、暑い時期に比べて水分補給の回数が少なくなりがちという要因があるそうです。

お年寄りに限らず、お子さんやペットも熱中症への注意が必要です。子どもは体温調節機能が未発達な状態で、大人よりも汗をかくまでの時間がかかるため、高くなった体温を下げるのにより多くの時間を要してしまうのが原因です。ペットも自ら症状を訴えることができませんし、飼い主の配慮が大切です。

家の出入り・侵入・脱出の危険対策

家の出入り・侵入・脱出の危険対策

意外な盲点として、玄関やそのドア付近にも、家庭内と屋外をつなぐ接点ならではの危険が隠れています。高齢者の徘徊や子供の玄関からの飛び出しなど家庭外へ出る際の事故防止に加え、押し売り、強盗、侵入窃盗など今度は屋外から家庭内への事件・事故を防止するためにはドアガードやダブルロック(1ドア2ロック)、オートロック機能付きの錠前なども活用すべきでしょう。

また侵入を抑制するのは家庭外からの侵入者だけではありません。家庭内の危険な場所として、前述した浴室以外にキッチンなども要注意。包丁など鋭利な刃物はすぐに思いつきますが、その他にも沸騰したスープや揚げ油、熱したフライパンや鍋などにお子さんがうっかり触れてしまうというケースも見られ、注意が必要です。小さなお子さんやペットなどがいるご家庭では、これらの場所には侵入できないよう、行動範囲を制限できるゲートを設置するなど対策がおすすめです。


以上のように、家庭内にはさまざまなリスクがあり、とくに子供や高齢者、要介護者、ペットには注意が必要で、そのためにさまざまな対策が求められます。補助錠、侵入防止のゲート、家具を固定する便利アイテム、指詰め防止のドアの安全グッズなど、自分自身で設置して実現できることも多数ありますし、さらには専門店に相談してみるのもお勧めです。鍵と防犯の専門店には、家庭の安心・安全な暮らしを向上させるために、プロならではの品ぞろえやアイデア、ノウハウが豊富にあります。これらを活用すべく、気軽にご相談ください。ご来店、お声がけをお待ちしております。

※「錠」と「鍵」の表記について
錠前(錠・ロック・lock)は、扉などに取り付けて締める金属、機械的または電子的な部品をいいます。鍵(かぎ・キー・key)は、錠前を施錠・解錠する(操作する)ための器具をいいます。ここでは便宜上、日常的な会話に合わせて、鍵と錠前をまとめて「鍵(かぎ)」と記載している場合があります。